三陸・常磐の豊かな海が誇る美味しい水産物をご紹介する「うめぇもん!通信」。その美味さの秘密と、生産者の想いやこだわりのストーリーをお届けしていきます。
Vol.2は青森県八戸市のサバ。日本人には馴染みあるお魚ですが、八戸のサバは脂ノリ日本一と評されるほど極上!その別格の味わい、ぜひ食べてみて!
サバは、焼き魚、鯖味噌、鯖寿司、〆鯖、なれ鮨のほか、最近ではサバ缶を使った料理本も出るほど、日本人には親しまれている魚です。日本の太平洋沿岸で水揚げされるサバは秋が旬。サバの主要漁港としては本州最北端に位置する八戸港。その沖合、八戸沖で水揚げされるサバは、脂乗りが良く「戻りのサバ」と呼ばれ、<八戸前沖さば>(※1)としてブランド化もされています。
プランクトンが豊富な北海道沖で育ったサバは丸々と太り、産卵のために南下を始める9月から10月頃のサバは脂の身入りもよく、風味は格段に上がります。特に八戸沖で水揚げされる「戻りのサバ」は、ぜひ一度味わってみたい逸品!脂がよく乗り、旨味の強さが全然ちがい、濃厚な旨味と脂の甘みがよく出ています。
比較的、サバは食べる機会が多いですが、「サバってこんな味だったんだ」と目から鱗が落ちます。
八戸の漁師、清洸丸船頭の石井隆晟さん(29)も、「一番好きなのは、脂が乗ったサバの塩焼きですね。僕にとっては、どんな高級魚を食べるよりも一番美味しい!」と、イチ推しです!
石井隆晟さんのお父さんは、(株)清和漁業 第21清和丸(16トン)船頭の石井清一さん、お兄さんの駿吾さんも同じ船に乗っています。隆晟さん自身も一緒の船で仕事をしていましたが、今年から清洸丸の船頭に大抜擢されました。
今年から動き出した清洸丸ですが、実はかなり特殊な船なんですって?
「会社というより、清洸丸は漁業組合の有志が集まって立ち上げた団体です。自分で釣り船をやったり、タコ箱とかやったりして、みんな海の仕事をやりながら定置網もやってって感じですね」。
漁師経験者が集まった団体の中で、わずか漁師9年目で船を束ねる隆晟さん。清洸丸の先輩漁師が隆晟さんに寄せる信頼と期待が分かります。
定置網漁とは、海中に網を設置し、回遊する魚を誘い込み捕獲する漁法です。まだ清洸丸は動き始めたばかりですが、八戸での1年間の定置網漁はどのように行われるのでしょうか?
「網はここから10分ほどの距離のところに仕掛けています。4月に網を入れて、2、3カ月おきに網を交換。漁は1月2月で切り上げになるので、網を上げてそこから休みになるって感じですね。魚種は、4月だとマスやウマヅラハギ、5月6月にはサバやイナダが獲れます。8月ぐらいになり水温が上がるとあんまり魚が獲れなくなります。9月になると魚が増えはじめて、秋冬のサバやイナダは脂がのって一番おいしいです」
高校卒業後、東京で音楽学校に通いながらバンドマンをしていたという隆晟さん。漁師とロックバンド、何か通じるところは?と質問をしてみました。
「うーん……、やっぱ地道に頑張るしかないですよね。たぶん、それぐらいしか自分には思いつかないですけど(笑)。
この10年、漁師を続けることができたのは、やっていくうちに魚獲るのが楽しくなったからですね。網の構造がわかると自分なりに工夫もする。自分はまだ9年しか定置網やってなくても、一生懸命やってたら船頭にもなれた。そこが自分の中では楽しいし、やりがいを感じてます!」
ほかの魚種と同じように、以前に比べ八戸のサバも水揚げがかなり減っています。海の変化に対応するための試行錯誤を続けていく必要があります。
「まだ、船頭になったばかりなので日々勉強です。今やりたいのは、脂がのってないサバを出荷しても値段にならないので、獲ってから自分たちで蓄養して、脂を乗せてから出荷できるような仕組みを作りたいなと思っています。理論上はできるんですけど、現状はまだ難しいですね」
隆晟さん、最後に八戸のサバのアピールをお願いします!
「八戸では、サバは一夜干しや塩焼きでよく食べます。西日本のみなさん、八戸まで北上してきたサバは脂がよくのって美味しくて、ブランド化もされるほどなので、ぜひ、食べてみてください!」
※1 八戸前沖さば:八戸前沖さばブランド推進協議会が認定した期間に、三陸沖以北の日本近海で漁獲し、八戸港に水揚げされたさばです。認定には、漁獲期間の水揚げ状況、脂肪分、重量等を参考に、協議会が毎年判断し決定します。
《八戸での取り組み》
今夏、八戸では新たに「八戸ジョイントミーティング」という組織が立ち上がりました。八戸の水産業界を盛り上げるために、漁業者、水産会社、行政、街づくりに関わる人たちが集まり、未来を構想して何かやろうとしていく会議です。八戸ジョイントミーティングには、石井隆晟さんも兄の駿吾さんとメンバーに名を連ねています。若手の水産関係者、漁業者 、 仲買人等による同業内での連携促進だけでなく、行政、街づくり関係者など、水産業界全体の活性化に向けた足がかりを目指しています。
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