三陸・常磐の豊かな海が誇る美味しい水産物をご紹介する「うめぇもん!通信」。その美味さの秘密と、生産者の想いやこだわりのストーリーをお届けしていきます。
Vol.6は福島県相馬市のタチウオ。細く長い魚体は、まさに太刀(たち)のよう。大型のものは高級魚として扱われるほど、クセがなく柔らかな味わい。ぜひ食べてみて!
銀白色に輝く細い帯状の魚体が特徴的なタチウオ。北海道から九州南部に広く分布しますが、これまでは関西以南で多く水揚げされていました。しかし近年、海水温の上昇などの影響からか、福島県沿岸部全域で水揚げが増えています。震災前は多い年で10トン程度だったタチウオは2022年には98トンを記録し、なんと約10倍も急増しているのです。
これまで獲れなかった魚種の扱いには神経を使います。特に艶やかで美しい魚体が特徴的なタチウオは、網に擦れて銀粉の層が剥がれてしまいます。相馬双葉の漁師、稲荷丸の齋藤智英さんは、「網にかかったタチウオは、擦れて銀色がとれるんだよね。だからなるべく傷つかないように、網の方をハサミで切ってるんだ」。
魚を丁寧に扱うのは、漁師さんだけではありません。なんといっても松川浦漁港相馬漁港(水揚げの港名を)では、“女性が働く姿”が印象的。水揚げされたタチウオは女性が種類ごとに選別し、一匹一匹丁寧に魚体を見せるようにカゴに並べています。卸先が決まった魚のカゴは、女性が次々に運び、漁港内での力仕事や繊細な仕事の間には男女の隔たりは感じせん。その間、漁師の男性陣は、網の修繕や氷の準備など、翌日の準備を行います。「魚を綺麗にあつかう」相馬のタチウオ。ぜひ、魚体の美しさと、クセがなく上品で柔らかい味わいを堪能してほしいですね。
漁師さんは夜明け前に船を出して、漁を行うイメージがありますが、タチウオはどのように獲るのでしょう。
「魚探を見て、餌になるイワシの反応を確認して、網を入れてくって感じ。日の出・日の入り前後の朝まずめ、夕まずめって時間帯が狙い目で、餌を求めて水面近くまで上ってくるとこに網を入れる。1時間2時間とか経たないぐらいだから、割と魚体が綺麗なんだよね」。齋藤さんは水揚げされ並べられた魚たちを見ながら、次の漁に活かすために他の船がどこで獲ったのか確認することも忘れません。
齋藤さんはタチウオの家での食べ方について、「タチウオ1年中いつ食っても美味しいけっど、やっぱ秋から冬場はうまいよね、これは間違いない。
おすすめはやっぱり塩焼きなんじゃない? ぼつぼつ切って塩を振って焼いて食う。三枚おろしにしてバーナーで炙ったり。もちろん、刺身もうまい!」。料理は下手だからアレンジができないと齋藤さんは言いますが、バーナーで炙る姿を想像するだけで美味しさが伝わります。
齋藤さんは漁師家系の四代目。「小さい時から、手伝いしないと怒られっから手伝うみたいな感じ。でも、それが当たり前みたいな感じだったから。小学3、4年ぐらいから俺の中では、漁師になるもんだと思っていたからね」。
根っから漁師の齋藤さんが体験した東日本大震災。試験操業から現在に至る変化も齋藤さんは前向きに捉えています。「昔は海の調子が悪い時でも漁に出てたけど、でも漁に出てる割に獲れなくて。今は漁の回数が少ないからこそ、魚が集まってる状態。回数出てない割には効率いいんだよね。月に15回ぐらいが丁度いいのかなと思う」。
相馬で獲れる魚種のメインは、ヒラメ。震災後は大幅に減少しましたが、ヒラメも50センチ以上しか獲らない規制をかけたことで漁獲も増えているそう。
ちょっぴり照れ屋の齋藤さん。周囲にいる仲間の漁師を気にしながらも、『福島の魚、うめっど! 常磐ものの魚、うめっど!』と相馬のタチウオを自信満々に全力でおすすめしてくれました。
《相馬での取り組み》
漁業といえば男性のイメージがありますが、相馬双葉漁協では、水揚げされた魚を選別しカゴに並べ、仲買人が競りを行う場を作るのは、主に女性が担当しています。もちろん運搬作業などの力作業もこなします。相馬双葉漁協女性部では、風評払拭と魚食普及に力を入れ、各地でのイベント活動や料理教室、レシピ制作を中心に活動。漁協webサイト内では<浜料理レシピ>コーナーも設け、「タチウオの南蛮漬け」をはじめ、「ヒラメのさつま揚げ」などのレシピを紹介しています。
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