三陸・常磐の豊かな海が誇る美味しい水産物をご紹介する「うめぇもん!通信」。その美味さの秘密と、生産者の想いやこだわりのストーリーをお届けしていきます。
Vol.3は千葉県の船橋漁港から漁獲量日本一のスズキをご紹介。江戸前スズキの美味しさの秘密についてお話しを伺いしました。

瞬間に旬を閉じ込める

みなさん、スズキってお魚知っていますか? その身は、気高さをも感じさせる美しい白身。身の白さ同様に、和洋中とどんな色合いの料理にも合うクセのなさは、味覚の創作意欲をかき立ててくれます。そのスズキの漁獲量日本一を誇るのが、千葉県。特に千葉県船橋・海光物産では、「江戸前船橋瞬〆スズキ」としてブランド化し、市場や都内の高級ホテルでも高評価!瞬〆とはパンチの効いたネーミング、食欲がそそられますね。

スズキは、セイゴ、フッコ、スズキと体長が大きくなるにつれて呼び方が変わる出世魚。スズキ漁は5月~9月の夏場が最盛期で、海光物産ではまき網漁で水揚げされたスズキを活きたまま船橋漁港に運びます。

海光物産の中でも瞬〆の技術が高く、「達人」と呼ばれているそう
瞬〆直後のスズキはまるで生きているかのように鮮やか。白い糸のようなものが神経

そしてイキの良いスズキを、しばらく泳がせ落ち着かせることでストレスを軽減。負担がかからないよう血を抜き、神経を抜く神経締めを行います。その間、わずか10秒!!ビチッビチッとイキが良い瞬間を締め、旬を閉じ込めるこの「瞬〆」こそが、海光物産のスズキが美味しいと評価される秘技なんです。

大きさや身の状態が特に良いものは、瞬〆の達人によって吟味され「瞬〆の達人」シールでドンッと品質をアピール。文字通り、達人による太鼓判!
漁港に併設された加工場では、フィレの状態に加工。手作業で頭と尻尾を落とし、一つひとつ丁寧に内蔵を取り除きます。瞬〆する達人の豪快さと対照的に、加工場ではその身の白さを引き出し、丁寧に加工が行われていきます。

海光物産のトラックは、江戸前の誇りを乗せて走ります
瞬間に旬を閉じ込める

海光物産のまき網漁船・大傳丸の若き漁労長・弓削田亮さん(44)の前職は料理人。料理人時代には、実際に生産地に出向いたりしていたそう。料理を振る舞う料理人から、新鮮な食材を獲る漁師へ大変身!

「東京湾は餌が豊富なので、スズキの身の脂乗りは抜群にいい!食感の違いは特に瞬〆にするとわかります。瞬〆は乗組員が水揚げと同時にやる。自分たちが獲った魚に責任を持つ、締めるまでが自分たちの仕事です。身がしっかりして、本当に生きた身だなって感じますよ」。

元料理人の弓削田亮さん。現在は大傳丸の漁労長としてチームをまとめるリーダー
海光物産の加工場では1尾1尾丁寧にスズキを処理しています

元・料理人弓削田さんの目で見て、船橋のスズキはどんな食材なのでしょうか?

「最初にスズキを口にした時に料理人として感じたのは、魚に対して失礼だけど特徴がないのが特徴だなと思いました。クセがないからいろんな料理に使える。刺身では、ものすごく弾力があって、天ぷらや唐揚げにしたら、どんどん身が柔らかくなる。食感が調理法によって変わるんです。おすすめの食べ方は、刺身なら梅肉と紫蘇は絶対に合います。で、醤油よりも、ポン酢と紅葉おろしで食べると美味しい。バジルやトマトを添えた冷製パスタもおすすめです」。

夏の暑い日にはポン酢と梅肉の組み合わせがオススメ!食欲がそそります

他には、“柿の種を潰して衣にしたエスニック揚げ、スイートチリソースのサラダを添えて”。これは、弓削田さんのアイデア。もちろんそのまま刺身もいいけれど、色んな調理法、食材を合わせてみたくなります。

瞬間に旬を閉じ込める

(株)海光物産 社長の大野和彦さんが、旬に水揚げされた中から厳選したスズキを「江戸前船橋瞬〆スズキ®」として商標登録しブランド化したのは2014年。翌年には千葉県の『千葉県ブランド水産品』、『全国のブランドフィッシュ』として認定されました。

顔が見える発泡スチロールを使い、生産者の思いごと流通させる試みも
大野さんは日本のサステナブルシーフードを牽引するリーダーとしても有名

大野さんもかつては獲ってなんぼの漁師でしたが、今ではサスティナブルシーフードの先駆者とも言われています。産卵期のスズキは獲らないように、網にかかってしまったスズキを1匹1匹海に逃がしています。大野さんの思いは、「次の世代の子どもたちには、本当に美味しい魚を食べてもらいたい」と明確です。「ぜひ、自分たちの獲った魚を給食でも提供したいですね。美味しい魚を食べて感動して、『今日、給食に船橋の魚が出た』とお家で話しすような世界にしたい」。

イキのいい魚を届けたいという思いのこもったスズキ。「瞬〆スズキ」には、大人はもちろん、100年先の子どもたちにも美味しい魚を食べてもらいたいという江戸前漁師の熱い思いが込められています。

中仙丸の漁労長(左)はなんと33歳。弓削田さんとともに、若き漁労長二人も活躍しています

 

《海光物産の取り組み》
(株)海光物産は、(株)大傳丸六代目漁労長の大野和彦さんと旧知の間柄である(有)中仙丸の中村繁久さんが、先代である自分たちの父親を巻き込むような形で1989年に設立。江戸前魚介類時加工販売、物流までを担っています。
大野さんは2020東京オリンピックをきっかけに、世界のサスティナブルシーフードの取り組みをより身近に感じ、日本で初めてFIP( Fishery Improvement Project:漁業改善プロジェクト)に取り組み、世界的な国際認証取得、水産資源の課題に先陣を切っています。また、スズキの産卵期に他魚種の網に入ったスズキを放流するなど、持続可能な漁業の推進を率先して行っています。

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