三陸・常磐の豊かな海が誇る美味しい水産物をご紹介する「うめぇもん!通信」。その美味さの秘密と、生産者の想いやこだわりのストーリーをお届けしていきます。
Vol.4は、茨城県の那珂湊(なかみなと)漁港からメヒカリをご紹介。脂のりが良く柔らかな白身が魅力のメヒカリ、そのおいしい食べ方や、それを支える漁師のこだわりについてお伝えします!

瞬間に旬を閉じ込める

茨城県沖から福島県沖にかけての海域は常磐沖と呼ばれ、親潮(寒流)と黒潮(暖流)が交わる「潮目の海」であることから、さまざまな海産物がとれる豊かな漁場となっています。この海でとれる魚は「常磐もの」と呼ばれ、豊洲市場をはじめ全国で高い評価を得ています。

今回訪れたのは、茨城県ひたちなか市にあり、茨城県の海岸線のほぼ中央部に位置する那珂湊漁港。ここでは、底びき漁船によって多種多様な近海魚が水揚げされています。中でも、茨城県の県魚に指定されているヒラメは多くの水揚げ量を誇り、那珂湊を代表する魚の一つなのだとか。ほかにも、ヤリイカやマダコなど多彩な地魚がとれるほか、大型漁船の廻船が入港するカツオやサンマの水揚げ基地としても知られています。

「今日水揚げしたのは、主にメヒカリですね」。とれたての魚を見せてくれたのは、漁船「大洋丸」に乗り込み、兄弟で漁師を営む根本洋平さん(39)と根本勝洋さん(41)。実は、秋に漁のピークを迎えるメヒカリも、那珂湊の名産品の一つ。水揚げ後すぐに冷水と氷で冷やされたメヒカリは、見るからに鮮度抜群です!

青緑色の大きな目が特徴のメヒカリ。茨城のメヒカリは、皮が薄く骨まで柔らかいのだとか

「メヒカリは、唐揚げや丸干しなどいろいろな食べ方ができる魚です。シンプルに、塩焼きもおいしいんですよ。僕は、鱗もとらずに洗ってそのまま塩焼きにしてしまいます。活きがよければ肝も食べられるし、これが結構おいしいんです」(洋平さん)

「鮮度がよければ、刺身もいいね。季節によって脂がのっていたり、さっぱりしていたり。いつ食べても、何度食べてもおいしいのがメヒカリです!」(勝洋さん)

皮が薄くて骨まで柔らか、脂ののった白身が魅力の茨城のメヒカリ。揚げてよし、焼いてよしのメヒカリは、定番の唐揚げだけでなく、いろいろな料理で味わってみたいですね。

メヒカリの唐揚げは、おつまみにもぴったり!サクッとした衣とふんわりした身がやみつきになります
足が早いメヒカリ。とろけるような食感の刺身を味わえるのは、新鮮な魚が手に入る地元ならでは

海底に沈めた網を船で引いて魚をとる底びき漁では魚に傷が付くこともありますが、「大洋丸」の魚は傷が見当たらず、とてもきれいな印象です。その理由について洋平さんは、魚が傷まないよう網を引く時間を短くし、あえて大きな漁具を使用しないなどの工夫をしている、と明かします。

さらに、魚の鮮度を保つための温度管理もとても重要です。「大洋丸」は船に冷蔵機能がついているほか、選別後の魚は冷水につけ、競りの時間まで温度が下がらないよう、樽の上にビニールシートを被せておくほどの徹底ぶりです。
「ほかの船でもやっていると思いますが、『冷やし込み』は重要です。冷水と氷を使って、できるだけ水温が上がらないよう気を付けて運んでいます」(洋平さん)

「知り合いのシェフが、『魚をとるところから料理が始まっている』とよくおっしゃるんです。そのくらい、魚の鮮度や状態は大切なんですね。だから、自分も『シェフの料理の一端を担っている』という認識をもって、“できるだけ鮮度のよい魚を、よい状態で”お届けできるよう心掛けています」(勝洋さん)

新鮮で傷みのない魚や貝は、このような徹底したこだわりと丁寧な仕事によって届けられていたのですね!

漁獲物を冷水や氷で冷やす「冷やし込み」で、鮮度をキープ!
漁港にいた仲買人の方も「大洋丸はいつもいい魚をあげてくれるんだよ」と太鼓判!

一年を通じて、さまざまな水産物がとれる那珂湊。「大洋丸」も、メヒカリのほかにヒラメやタイ、ヤリイカなど、季節に応じてさまざまな魚や貝をとっているそう。底びき漁が禁漁期間となる夏にはシライトマキバイ(つぶ貝)のかご漁も行っているそうで、バター焼きや煮付けなど、さまざまな食べ方でおいしくいただけるのだとか。

弟の洋平さん(左)と兄の勝洋さん(右)。並んで手際よく作業を進めていきます
年間を通してさまざまな漁を行う「大洋丸」。年始から春先が一番の繁忙期なのだとか

ここで、那珂湊の魚を知り尽くしているお2人に、一番好きな海の幸と食べ方を聞いてみると……。

「那珂湊ではおいしい魚が山ほどあるので、どれか一つは選べないですね。個人的には、刺身全般が好きなんですが、ヒラメにせよメヒカリにせよ、旬のものはやっぱりおいしいです。とった魚は、自分でさばいて刺身にします」(洋平さん)

「僕が好きなのは、スルメイカ! 水揚げしたばかりのイカを沖で洗濯ばさみで干して、持って帰ってきて、焼いて食べる。これが最高ですね」(勝洋さん)

とれたての新鮮な魚を自ら刺身にしたり、沖でスルメイカを天日干ししたり。地元の漁師ならではの、なんとも贅沢な調理法ですね!

皮をパリッと焼いたメヒカリの塩焼き。こちらも居酒屋などではあまり見かけない地元ならではの一品

取材の最後に、「茨城の魚はおいしいぞ!」と笑顔でアピールしてくれた洋平さんと勝洋さん。那珂湊の海をこよなく愛するご兄弟が舵をとる「大洋丸」の今後の活躍に、ますます期待が高まります。

「茨城の魚はおいしいぞ!」 お2人の笑顔がとても素敵です

 

《「那珂湊おさかな市場」の取り組み》
那珂湊漁港前にある「那珂湊おさかな市場」では、その日に水揚げされた新鮮な水産物をリーズナブルな価格で購入できるだけでなく、海鮮料理や回転すしなど新鮮な地魚を味わえる食事処も多数軒を連ねています。那珂湊や近海でとれた地魚のほか、北海道など全国から仕入れた旬の魚介類も多く取り扱っており、県内外から毎年約100万人が訪れる活気溢れる観光市場となっています。

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